HOLA!Amigos!るちゃ男です。今回はメキシコのルチャリブレ界にその名を刻んだ伝説のルチャドール「エル・ソリタリオ」をご紹介します。エル・ソリタリオの壮絶な人生とキャリヤは、1000以上の勝利と数多くの世界王座獲得を誇り、今なお国内外のルチャリブレファンに語り継がれているレジェンドです。彼の幼少期やデビューなどを紹介したいと思います。今回もよろしくお願いします。
記事元:El Mil Iris Jarocho
労働者階級の末っ子からプロレスへの第一歩
ロベルト・ゴンサレス・クルス、後の「エル・ソリタリオ」は1946年5月22日、メキシコの労働者階級の家庭に7人兄弟の末っ子として生まれました。12歳の時、ルチャドールだった兄ヘススから基礎を学び、ルチャリブレの世界に魅了されます。
しかし、1959年、別の兄オトン・ビカがリング上で悲劇的な死を遂げたことで、彼の運命は大きく変わります。この出来事に挫けるどころか、逆に刺激を受けたソリタリオはルチャリブレに人生を捧げる決意を固め、マエストロ・ジョーの指導の下、1960年、わずか14歳でプロデビューを果たしました。

名前の変遷と独自の輝きを求めて
デビュー当初、彼は小さなアリーナで銀色のマスクを被り「エル・サントの息子」として戦ったと言われていますが、独自の存在感を放つため、亡兄に敬意を表して「エル・シカ・セグンド」という名を選択。
その後、ティフアナに移りキャリアを追求しますが、若さと小柄な体格ゆえに安定した仕事に恵まれず苦労します。地元の試合で技術を磨きながら成長した彼は、より魅力的なリングネームが必要だと気づき、人気コミック「ローン・レンジャー」に着想を得て「エル・ソリタリオ」を名乗ります。
当初は黒いライン入りの金のマスクを採用しましたが、著作権問題を避けて名前だけを残し、1976年9月6日、メキシコシティのアレナ・コリセオでトニー・レイナを破って華々しくデビュー。同年、アギラを倒してマスクを剥ぐ快挙を成し遂げました。


スターダムへの飛躍と伝説のライバル関係
エル・ソリタリオの本格的な活躍は、EMLL(現:コンセホ・ムンディアル・デ・ルチャ・リブレ‐CMLL)で始まります。1968年12月13日、ベテランのレイ・メンドーサをマスカラvsカベジェラの試合で破り、一気にスターダムにのし上がると、数週間後にはレジェンドのレンの髪を奪う勝利を重ねます。
Dr・ワグナー、アンヘル・ブランコと「ラ・オラ・ブランカ(白い波)」というトリオを結成しルード(悪役)として活躍するも、パートナーに裏切られたことでテクニコ(正義役)に転身。彼らとの伝説的なライバル関係が誕生します。

1969年にはラヨ・デ・ハリスコを破ってNWA世界ミドル級王座を獲得するも翌年マイオ・コマに奪われ、1970年にはレイ・メンドーサからNWAライトヘビー級王座を奪取、しかし2年後にデビッド・モーガンに敗れます。
1972年、宿敵アンヘル・ブランコを倒してマスクを剥ぎ、その正体がホセ・アンヘル・バルガス・サンチェスであることを明らかにしました。
日本での活躍と新たな挑戦
EMLLを離れ、フランシスコ・フローレス率いるUWAに移籍したソリタリオは、1972年、1979年、1981年に日本を訪れ、タイガーマスクや藤波辰巳といったスターと対戦やタッグを組み、チャボやカネックらメキシコ人レスラーとも共演。
1980年代にはアニバル、ビジャノ・テルセロと「ロス・トレス・カバジェロス(三人の騎士)」を結成し、1982年にはエル・サントの引退試合でエル・サント、ゴリ・ゲレロ、ウラカン・ラミレスといったレジェンドと共演します。
そして1985年12月1日、マスカラvsマスカラの試合でDr・ワグナーを破り、その正体マヌエル・ゴンサレス・リベラを暴く勝利を収めました。

エル・ソリタリオ:ルチャ・リブレの伝説が天に昇った日
しかし、キャリア後期のソリタリオは度重なる怪我に悩まされ、感染症や病気と闘います。
フィッシュマンとの試合で再び負傷し、腹痛を訴えて病院に運ばれた彼は内出血が判明し緊急手術を受けますが、1986年4月6日、39歳の若さで手術中に心停止でこの世を去りました。
25年以上のキャリアで1000以上の勝利と複数回の世界王座を誇る彼は、メキシコ最高のルチャドールの一人として刻まれ、ルチャ・リブレは「天のリングで戦う天使」として追悼。クアトロ・カミノスでのイベントでは、彼が「日本でトロフィーをたくさん持ち帰った」「アメリカには行かない、メキシコの方が3倍稼げる」と語った言葉が仲間たちに響き、彼の現実的な一面も垣間見えました。

エル・ソリタリオが残したもの
エル・ソリタリオの人生は、貧しさからのスタート、兄の死を乗り越えた決意、数々の栄光、そして悲劇的な終幕まで、まさにルチャ・リブレそのものでした。彼の功績は今もメキシコ、ルチャリブレ史に輝き、ファンに勇気と情熱を伝え続けています。
