💀「冥界の王」誕生—ゲレーロ・マヤJr亡き師に捧げた戴冠劇

メキシコの「死者の日(Día de Muertos)」は、悲しみではなく、死者への愛と生への感謝を祝う日です。そして、ルチャリブレ界の“大聖堂”であるアレナ・メヒコにとって、この日は年に一度、現世と冥界が交錯する最も神秘的な夜となります。

CMLLの伝統的なビッグイベント、「レイ・デル・インフラムンド(Rey del Inframundo: 冥界の王)」トーナメントの決勝が、10月31日(金)の「Viernes Espectacular」で行われ、新たな王が誕生しました。

参考記事:mexico.as.com
文章:るちゃ男yAI記者Gemini

新王ゲレーロ・マヤJrの「覚醒」

動画元:VideosOficialesCMLL

魂の力で掴んだ戴冠

今年のトーナメントは、前回王者であるディフントに加え、ゲレーロ・マヤJr、ビジャノ三世Jr.、そしてアドレナリナの4名による決勝戦となりました。

試合は、アドレナリナの華麗な空中技、ビジャノ三世Jrの非情なルードファイト、そしてディフントの王者の貫禄がぶつかり合う激戦となりました。

しかし、最終的に激闘を制したのは、プエブラ出身のルードであるゲレーロ ・マヤJrです。

「マヤの生贄」で王者を撃破

最後の激闘は、前回王者のディフントとの一騎打ちに。ディフントがコーナーポストからの大技を狙った瞬間、ゲレーロ・マヤJrは驚異的な集中力でこれを切り返し、自身のフィニッシュムーブである「サクリフィシオ・マヤ(Sacrificio Maya: マヤの生贄)」を炸裂させました。

ディフントがタップアウトした瞬間、アレナ・メヒコは新王誕生の歓声に包まれました。ゲレーロ・マヤJrは、キャリアで最も権威あるタイトルの一つである「レイ・デル・インフラムンド(冥界の王)」の紫のベルトを勝ち取ったのです。

亡き師への捧げ物となった勝利の涙

ゲレーロ・マヤJrの勝利が、単なる一試合の勝利で終わらなかったのは、試合後の彼の感動的な告白によるものです。試合後のインタビューで彼はこの勝利を師であるブラック・テリーに捧げると語りました。

動画元;The Club Lucha Libre

インタビュー:ゲレーロ・マヤJr──死と生の狭間で闘う魂

──2025年、このトーナメントでここまで勝ち進むとは、誰も予想していなかったのでは?

そうだと思います。でも、俺は今日アレナ・メヒコのリングで証明した。誰もが驚くような結果を出して、胸を張ってここに立っている。この大会には、伝統と魂が宿っている。今日のアレナ・メヒコには多くの観客がいたが、同時に、かつてここにいたファンたちの魂も確かにそこにいた。リングに立った瞬間、亡くなった友人であり師でもあるブラック・テリーの存在を強く感じた。勝てたのは、彼の教えが俺の中に生きていたからだと思う。このトロフィーとチャンピオンベルトは、彼に捧げる。心から、魂から。

──今日の試合では、かなり“ルード”らしい激しい動きが見られました。今後はルードとして戦っていくつもりでしょうか?

ああ、間違いない。今の俺は、ルードとして生きている。これまでは観客を喜ばせることを意識していたけど、それはもう過去の話だ。長くテクニコとして戦ってきたが、そこには慣れがあった。だからこそ、ルードへの転向は俺にとって進化だった。今では、ブーイングこそが俺の力になる。拍手なんていらない。俺は、リングの上で権威を示すために立っている。それが今のゲレーロ・マヤだ。

──今回のマスクや衣装のデザインの「カマソッツ」は、マヤ神話に登場する冥界の戦士ですね。この大会とのつながりをどう感じていますか?

「ゲレーロ・マヤ・カマソッツ」は、闇の象徴だ。マヤ神話では、カマソッツは半人半コウモリの姿をした冥界の戦士であり、シバルバの王でもある。だからこそ、このトーナメントには完璧にフィットしていた。死者の日のような祭りの中でこそ、俺はより“生きている”と感じる。闇の中でこそ、戦士の魂は燃えるんだ。

──今のゲレーロ・マヤを形作った重要な存在として、ご家族や亡くなったファンの話にも触れていましたね。

そうだ。ちょうど1年前、俺はルードへと進化した。そして今年4月、師であるブラック・テリーが亡くなった。さらに、父も亡くなった。金曜日の朝に父が逝き、その夜にはトーナメント決勝戦が控えていた。試合後すぐに葬儀へ向かった。これまでにも、家族が亡くなった日に試合が重なることが何度もあった。それでも、俺はリングに立った。プロとしての責任があるからだ。悲しみの中でも、前に進む。それが戦士の道だ。

──霊の存在や死後の世界を信じますか?そして、このチャンピオンベルトには何か特別な力があると思いますか?

信じている。父が亡くなった後、なぜか運が向いてきた。悲しみの中で、俺は孤独だった。でも、息子が生まれたことで、前に進む力が湧いてきた。まさに“戦士”として生きる力だ。車で試合会場に向かう途中、涙を流しながら「なぜこんなことが起きるのか」と問い続けていた。ブラック・テリーも、父も、病気ではなかったのに突然亡くなった。でも彼らは今も生きている。俺の記憶の中で、そしてファンの心の中で。

このベルトが幸運の象徴なら、それを信じる。ゲレーロ・マヤは、まだルチャリブレを続ける。ルチャは俺にとって命だ。この競技をもっと誇りあるものとして示したい。ルチャリブレは高い身体能力を要する競技であり、家族で楽しめる文化でもある。リング上は激しい接触があるが、観客席は100%ファミリー向け。それが他のスポーツとは違う魅力だ。

──今日はプエブラの旗を背負って戦いましたね。

ああ、プエブラ州、アトリスコの旗を堂々と守った。これまではテクニコがその代表だったが、今回はルードとしてその旗を守った。プエブラには優れたルチャドールがたくさんいる。今後はルードの仲間たちと新たなユニットを作りプエブラ流のルードスタイルを広めていきたい。「タラベラ・オスキュラ(暗黒のタラベラ)」とでも名付けて、質の高いルチャリブレを届けていく。それが俺の使命だ。

Guerrero Maya Jr. se transforma para “imponer terror”