LUCHA LIBRE TECNICOS-ルチャリブレ・テクニコ‐

HOLA!AMIGOS‼ルチャ男(lucha‐o)です。ルチャリブレの試合はテクニコ(善)とルード(悪)に完全に分かれている!と知っていますか?特別試合やカップ戦などイベント的な試合を除いては試合の基本はテクニコvsルードとなっています。ではどんな選手がテクニコなのか?ルードの選手はどんなルチャリをするのか?簡単に解説してみたいと思います。今回もよろしくお願いします。

文章:るちゃ男yAI記者Gemini

メキシコのプロレス、ルチャリブレにおいて、テクニコは「技術」を意味するスペイン語「Técnico」が語源です。

日本語では「技術的な」「技巧派」と訳されますが、その名の通り、彼らは華麗でアクロバティックな空中殺法や、スピーディーな関節技を駆使して観客を魅了します。正々堂々と戦うヒーロー的な存在で、ルールを厳守し、クリーンなファイトを貫くのが特徴です。

スペイン語には、単語の語尾で名詞の性別を区別する文法があり、男性選手は「テクニコ(Técnico)」、女性選手は「テクニカ(Técnica)」と呼ばれます。この性別による呼称の違いも、ルチャリブレの興味深い点の一つです。

では、そんなテクニコが試合で見せる具体的な動きや得意技、そして彼らを象徴するマスクやコスチュームについて、さらに深く掘り下げていきましょう。

観客を魅了するテクニコの戦術と技

ルチャリブレのテクニコは、単なる正義のルチャドールではありません。彼らは子供たちの憧れの存在であり、その戦う姿は「カッコよさ」を基本としています。試合中の暴言や反則行為はもちろん厳禁。相手の髪を引っ張ったり、ローブローのような急所への攻撃もルール上避けて通ります。さらに、グーパンチやストンピングといった、見た目の荒々しい技も使わないよう徹底しています。

テクニコの戦術は、相手を力でねじ伏せるのではなく、その技術とスピードで観客を沸かせることに重点が置かれています。彼らが得意とするのは、華麗な空中技や、高く跳躍して放つドロップキック、そして投げ技のスープレックスです。これらの技を巧みに組み合わせ、試合をスリリングに展開していきます。

また、テクニコが真骨頂を発揮するのは、リング外での攻防です。リング上から相手めがけて飛び込むトペや、コーナーポストから場外へ放つプランチャーなどは、ルードがめったに使わない、テクニコならではの華麗な空中技です。これらの技が成功した時の、観客の歓声こそが、テクニコのパフォーマンスを支える最大のエネルギー源と言えるでしょう。

ルチャリブレの基本、ドロップキックの練習風景

この動画は、ルチャリブレにおいて重要な技であるドロップキックの練習風景です。

まず、一人目の男性(黒とオレンジのウェア)がドロップキックを試みると、周りから「惜しいな!」「良い感じ、良い感じ!」といった声が上がります。練習生がジャンプしますが体制が若干前方に足も右足だけ上に浮いている状態です。
コーチがアドバイスを送ります。「真上にジャンプして、最後は胸をマットに着けるように」と

続く二人目の男性(緑とグレーのウェア)がドロップキックを披露すると、両足を胸に近づけて真上にジャンプして両足をペットボトルに当てて、着地も胸からマットに着いています。周りからは「esa es!(その通りだ!)」と感嘆の声が上がります。そして、三人目の男性が同じく見事なドロップキックを決めました。さらには持っていたペットボトルの上部に足が当たった、高さがあったのでコーチが「bien!(完璧だ!)」と称賛します。

相手にドロップキックを放った後、テクニコは両腕を広げながら、胸からマットに着地するという独特の受け身を取ります。この着地法は、単にダメージを和らげるだけでなく、素早く次の動作に移るための重要な技術でもあります。

もしこの受け身が取れなければ、次の攻撃に移る際にタイムロスが生まれ流れるような試合展開を妨げてしまいます。また、この胸からの着地は、見た目にも非常に華やかで、観客を魅了する「カッコよさ」を演出します。

試合の顔、マスクとコスチューム

ルチャリブレにおいて、マスクとコスチュームは単なる装飾品ではありません。それは、選手がリングで演じるキャラクターそのものを象徴する、まさに「第二の顔」と言えます。

僕が初めてマスクを作る機会を得た時のことです。プロフェッショナルになるためのテストに合格し、ライセンスを手にした僕にある日プロフェソールから「近いうちに試合が組まれるから、マスクを作っておくように」とアドバイスされました。

友人のルチャドールに紹介されたマスク職人のSr.コルテスを訪ね、持参したデザイン画を見せると、彼が最初に僕に尋ねたのは「ルード?それともテクニコ?」でした。その質問の意図を尋ねると、Sr.コルテスはこう教えてくれました。

Sr.コルテス
Sr.コルテス

「マスクやコスチュームに使う色の組み合わせには、だいたい決まりがあるんだ。会場の一番後ろにいる観客にまで、どちらがテクニコで、どちらがルードなのかが一目でわかる色を使わないとダメだよ」

この言葉は、僕にとって非常に印象的でした。最近では、ルードのマスクも派手な色使いが多くなっていますが、基本的には、白、赤、青、水色、黄色といった鮮やかな色は、正義の象徴であるテクニコが観客にアピールするために使うものなのです。

このように、マスクやコスチュームの色は、選手がリング上で果たすべき役割を明確にし、観客とのコミュニケーションを円滑にする重要な要素と言えるでしょう。

Luchadores de Tecnicos-テクニコ選手-

ルチャリブレ界のメジャー団体CMLLとAAAから代表的なテクニコ選手を紹介します
CMLL(写真元CMLL公式

MÍSTICO(cmll公式HPに飛びます)
ATLANTIS

AAA(写真元AAA公式)

AEROSTAR(AAA公式HPに飛びます

テクニコはルチャリブレ独自の文化

アメリカのWWEや日本の新日本プロレスなど、世界の主要なプロレス団体では、「テクニコ」と呼ばれる選手は存在しません。これは、メキシコのプロレス、ルチャリブレが持つ独自の文化であり、大きな特徴の一つです。

他の国のプロレスでは、ヒール(悪役)やベビーフェイス(善玉)の役割がストーリーによって流動的で、ファンもその変化を楽しんでいます。しかし、ルチャリブレには「テクニコ」という明確な役割があります。彼らは常に正義のヒーローとして振る舞い、ルールを厳守し、華麗な空中技で観客を魅了します。その対照として、反則を繰り返す「ルード」の存在があります。

こうした明確な勧善懲悪の構図は、ルチャリブレが単なる格闘技ではなく、大衆的な娯楽として深く根付いてきた歴史を物語っています。正義の味方であるテクニコは、メキシコの人々にとって、社会的な不公平に立ち向かうヒーローの象徴なのです。


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